こんにちは。
山口市を中心に注文住宅やリノベーションを手掛ける工務店、家咲の代表、古田です。
2026年8月は、千葉県、そして石川県・富山県・福井県と、記録的な豪雨が相次ぎ、大きなニュースになりました。
テレビや新聞でこうした映像を目にするたびに、「自分たちの建てる場所は大丈夫だろうか」「ハザードマップで色がついていない土地なら安心なのだろうか」と、不安を感じられた方も多いのではないでしょうか。
今回の千葉県の豪雨では、ハザードマップの想定区域「外」であっても浸水被害が発生した箇所が数多く報告されています。
河川の氾濫だけでなく、下水道の排水能力を超えた雨による「内水氾濫」が原因とされています。
正直なところ、ハザードマップだけに頼りきってしまうのは少し心配だなと感じています。
この記事では、公的機関の一次情報をもとに今回の被害の概要を整理したうえで、「ハザードマップだけに頼らない」水害への備え方について、住宅会社の立場からお伝えします。
室外機の設置高さなど、建築的にできる具体的な工夫にも触れていますので、これから土地探しや家づくりを検討されているご夫婦にとって、判断材料になれば幸いです。
※本記事は2026年9月6日時点で確認できた情報をもとに作成しています。
被害状況の数値は速報値であり、今後の調査により変更される場合があります。

2026年8月、記録的な豪雨が相次いだ千葉・北陸・福井の被害
千葉県の記録的豪雨(8月13日~14日)
2026年8月は、各地で「これまでに経験したことがない」と言われるほどの記録的な豪雨が相次いだ月でした。
まず8月13日から14日にかけて、千葉県では線状降水帯が繰り返し発生し、柏市や我孫子市付近では1時間に約100ミリを超える猛烈な雨が観測されました。
気象庁はこの大雨に「令和8年8月千葉豪雨」という名称を定め、大雨特別警報や土砂災害特別警報が相次いで発表されています。
千葉県の発表(9月3日時点)によると、住家被害は6,220棟にのぼり、内訳は全壊12棟、半壊2,183棟、一部破損272棟、床上浸水1,052棟、床下浸水2,701棟とされています。
被害調査が進むにつれて、当初は床上浸水として数えられていた住宅が半壊と判定し直されるケースも多く、数字は今後もさらに動く可能性があります。

石川県・富山県・福井県の一連の大雨(8月27日~30日)
続けて8月27日には、石川県と富山県で線状降水帯が発生しました。
羽咋市では1時間に82ミリ、氷見市では12時間で317ミリという、いずれも観測史上最大となる雨量が記録されています。
さらに8月29日から30日にかけては、福井県の嶺北地方でも大雨特別警報が発表され、県内5地点で24時間雨量が観測史上最大を更新しました。
消防庁はこの一連の大雨を「令和8年8月27日からの大雨」としてまとめて集計しており、9月2日時点の発表では、石川県・富山県・福井県をあわせた住家被害は1,116棟(床上浸水353棟、床下浸水753棟を含む)とされています。
2つの災害に共通していたこと
どちらの災害にも共通していたのは、「線状降水帯」による短時間集中の猛烈な雨でした。
被害を受けた地域は関東と北陸にまたがっており、局地的な豪雨は日本のどの地域でも起こりうるものだと、あらためて感じさせられる夏でした。
線状降水帯はこれまで西日本で発生しやすいと言われてきましたが、近年は関東や北陸など、それ以外の地域でも発生した事例が確認されています。
2つの災害を簡単に整理すると、次のようになります。
| 地域 | 期間 | 主な雨量 | 住家被害(速報値) |
|---|---|---|---|
| 千葉県 | 8月13日~14日 | 1時間に約100ミリ超 | 6,220棟(9月3日時点、千葉県発表) |
| 石川県・富山県・福井県 | 8月27日~30日 | 複数地点で観測史上最大 | 1,116棟(9月2日時点、消防庁発表) |
いずれの数字も、執筆時点で確認できた速報値です。
今後の調査によって、件数や被害の区分がさらに変わっていく可能性があります。
最新の状況は、各都道府県や消防庁の公表資料であらためてご確認いただくと安心です。
「ハザードマップの外だから安心」とは言い切れない理由
家づくりや土地探しを考えるとき、まずハザードマップを確認するという方は多いと思います。
危険度の高いエリアを事前に把握できる、大切な資料であることは間違いありません。
ただ、千葉豪雨の被害を見ていくと、想定区域外でも浸水被害が起きているケースが目立ちます。
「色がついていないから安心」と思い込んでしまうと、かえって備えが手薄になってしまうおそれもあります。
想定区域外でも被害が起きた千葉豪雨
ウェザーニュースが千葉豪雨の被害報告およそ2万件を分析した結果によると、被災箇所のおよそ2人に1人が、洪水浸水想定区域の「外」であったことが明らかになっています。
一般的なハザードマップの多くが河川の氾濫を前提としたシミュレーションであるのに対し、今回のような都市型の豪雨では、下水道などの排水能力を超えた雨によって発生する「内水氾濫」が多く見られたためだと考えられます。
一般的な下水道が処理できる雨量は1時間あたり50ミリ程度が目安とされていますが、今回はその2倍近い雨量を観測した地点もあり、排水が追いつかず、道路や敷地内に水があふれる結果につながったとみられます。

ハザードマップは万能ではない
ハザードマップは、あくまで「その場所で起こりうるリスクの一部」を示すものです。
示されていない場所が絶対に安全だという保証にはなりません。
「自分たちの地域は大丈夫」と決めつけず、どこでも起こりうるものとして考えておいたほうがよさそうです。
お客様と土地の相談をしていても、「色がついていないから安心」という言葉はよく耳にしますが、そのたびに、区域外だからといって油断はできない、とお伝えするようにしています。
内水氾濫の想定区域図もあわせて確認を
ハザードマップには「洪水」だけでなく、下水道の排水能力を超えた場合を想定した「内水氾濫」の想定区域図を公表している自治体もあります。
土地探しの段階では、洪水のハザードマップだけでなく、内水氾濫の想定区域図や、自治体の窓口で確認できる過去の浸水実績についても、あわせて確認しておくと安心材料が増えると思います。
ご自身で調べるのが難しい場合は、自治体の防災担当窓口に直接問い合わせてみるのも一つの方法です。
だからといって、ハザードマップの外側だから家を建てられない、というわけでは決してありません。
区域の色だけで一喜一憂せず、その土地の地形や排水状況を踏まえて、建物側でできる備えを一緒に考えていく。
それが、私たちの基本的なスタンスです。

建築でできる水害への備え ― 室外機の高さから設計の工夫まで
代表的な対策と、その目的
住宅の性能や設計を工夫することで、浸水による被害を軽減できる場合があります。
すべてのリスクを取り除けるわけではありませんが、事前に備えておくことで、被害の程度や、その後の生活再建までの時間に差が生まれることがあります。
何も備えていない状態と、少しでも対策を取っている状態とでは、いざというときの動きやすさもだいぶ違ってくるはずです。
代表的な対策を整理すると、次のようになります。
| 対策 | 目的 |
|---|---|
| 室外機・給湯器などの屋外設備を、地盤面から高い位置に設置する | 屋外設備の水没を防ぎ、復旧の手間を減らす |
| 分電盤など電気設備の設置位置を高くする | 浸水による停電・故障のリスクを減らす |
| 玄関や掃き出し窓など、水が侵入しやすい開口部に止水板を設置できるようにしておく | 建物内部への浸水を遅らせる |
| 基礎の高さを見直す | 床下・床上への浸水を抑える |
| 敷地の高低差や周辺の排水経路を確認し、必要に応じて盛土や排水計画を検討する | 敷地内に水が滞留しにくい環境をつくる |
| キッチンや浴室、トイレなどの排水経路にも配慮する | 下水道からの逆流を防ぐ |

公的な基準と、住宅業界の仕様事例
国土交通省と経済産業省がまとめた「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」でも、電気設備の嵩上げや止水板等の設置が有効な対策として紹介されています。
また、住宅業界の一部では、地盤面からおおむね1メートルの浸水を想定し、屋外設備や開口部への対策を仕様として取り入れている事例も見られます。
これは公的な基準ではなく、あくまで一部の仕様事例ですが、今回のような短時間豪雨への備え方として参考になりそうです。
とはいえ、こうした対策をすれば絶対に浸水を防げるわけではなく、被害を軽減し、その後の復旧をスムーズにするための備えとして捉えていただくのがよいと思います。

備えは、間取りの検討段階から
打合せの現場でも、間取りやデザインを優先するあまり、屋外設備の位置や高さまで意識される方は、これまであまり多くありませんでした。
設計が進んだ後になって「室外機の位置はどうなっていますか」というご質問をいただくこともありますが、配管や配置の関係で、後から高さを変更しにくい場合もあります。
そのため、間取りの検討段階からあわせて考えておくことをおすすめしています。

家咲では、土地の高低差や周辺のハザード情報を確認したうえで、条件やご予算に合わせて、無理のない範囲で備えをご提案するようにしています。
すべての住宅に一律で同じ対策を行うのではなく、リスクの大きい部分から段階的に検討していくという考え方でも十分だと思います。
予算には限りがありますから、優先順位をつけて考えていくほうが、結果的に納得のいく計画になりやすいのではないでしょうか。
「うちの土地は大丈夫でしょうか」というご相談をいただいた際も、まずは一緒にハザード情報を確認しながら、どこまでの備えをしておくと安心できそうか、整理するところから始めています。
土地選びとハザード情報の付き合い方 ― 選択肢を狭めすぎないために
色だけで判断すると、選択肢が狭くなる
土地探しの際、ハザードマップの色を見た瞬間に「この土地はやめよう」と判断してしまう方も少なくありません。
たしかにリスクを軽視するのはよくありませんが、色だけで即座に候補から外してしまうと、候補となる土地の幅がかなり限られてしまうことも事実です。
とくに希望されるエリアが限られている場合、条件に合う土地そのものが見つかりにくくなってしまうこともあります。

リスクの中身と、可能な対策をセットで考える
大切なのは、リスクの「有無」だけでなく、「どの程度のリスクで、どのような対策が可能か」までセットで考えることです。
想定される浸水深が浅い区域であれば、基礎の高さや屋外設備の設置位置を工夫することで、暮らしへの影響をある程度抑えられる場合があります。
反対に、土砂災害の危険性が高いエリアなど、建築的な対策だけでは対応が難しい場所も存在します。
こうした違いを踏まえずに一律の判断をしてしまうと、本来であれば工夫次第で安心して暮らせるはずの土地まで、見送ってしまうことにもなりかねません。

家咲の土地探しサポートと、山口県内の実情
私たち家咲では、土地バンクを活用しながら、価格や立地だけでなく、法規制やインフラ、地盤といった建築目線のチェックもあわせて行っています。
ハザードマップは判断材料の一部として捉え、その土地でどんな暮らしが実現でき、どんな備えが可能なのかを一緒に整理していく。
それが、後悔のない土地選びにつながると思っています。

山口県内でも、令和5年6月30日から7月1日にかけての大雨で、美祢市を中心に床上浸水135棟などの被害が確認されており、決して他人事ではありません。
この豪雨では、山口市でも平川・大歳地区を中心に浸水被害が発生しており、山口市の公表資料によると、市内全体で床上浸水168棟・床下浸水455棟、あわせて623棟の住家被害が確認されています。
土地の候補が複数ある場合は、それぞれの条件と可能な対策を比較しながら、ご家族にとって納得感のある選択をしていただければと思います。
焦って結論を出す必要はありませんので、少しずつ整理していきましょう。
この記事のまとめ
2026年8月は千葉県、そして石川県・富山県・福井県で記録的な豪雨が相次ぎ、住宅への被害も数多く報告されました。
今回の被害の特徴は、ハザードマップの想定区域「外」でも浸水が発生したケースが多かったという点です。
ハザードマップは欠かせない資料ですが、それだけを絶対的な基準にせず、建物側の備えとあわせて考えていく。
それが、これからの家づくりに必要な視点だと思います。
記事の内容を、あらためて整理します。
・2026年8月には千葉県、石川県・富山県・福井県で記録的豪雨が相次ぎ、住宅被害が報告された(数値はいずれも速報値)
・千葉豪雨では、被災箇所のおよそ2人に1人がハザードマップの想定区域外だったとされている
・ハザードマップは河川氾濫が前提のため、内水氾濫まではカバーしきれない場合がある
・室外機や電気設備の設置高さ、止水板の設置など、建築的にできる備えがいくつかある
・ハザード情報だけで土地の可否を即断せず、対策とセットで検討することが選択肢を広げる
家づくりも土地探しも、不安なまま急いで判断する必要はありません。
まずは正しい情報を集め、その土地でどんな暮らしが実現できて、どこまで備えられるのか、順番に整理していく。
それが、納得のいく選択への一番の近道だと思います。
※本記事には、内容理解を助ける目的で一部AI生成画像を使用しています。
引用元・参照元
・気象庁「令和8年8月13日からの千葉県の豪雨の名称について」(2026年8月14日)/NHKの報道により確認https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20260814de44072
・千葉県「令和8年8月千葉豪雨による被害状況等について(第23報)」(2026年9月3日17時30分時点)/報道記事により確認
https://chiba-style.com/bousai/11466/
・消防庁「令和8年8月27日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況(第17報)」(2026年9月2日10時時点)https://www.fdma.go.jp/disaster/info/items/20260827ooame17.pdf
・国土交通省・経済産業省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」(概要資料)https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001354003.pdf
・ウェザーニュース「令和8年8月千葉豪雨、2人に1人が浸水想定区域”外”で被災か」https://weathernews.jp/news/202608/140171/
・山口県「令和5年6月30日からの大雨災害について」(令和5年7月3日12時現在、山口県防災危機管理課調べ)https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/154467.pdf
・山口市「令和5年7月山口市長定例記者会見資料(令和5年6月30日からの大雨災害の被害状況と予算対応について)」(令和5年7月18日現在)
https://www.city.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/87322.pdf
※本記事に記載した被害状況・雨量などの数値は、2026年9月6日時点で確認できた速報値に基づいています。
り災調査の進捗により、被害件数や区分(床上浸水・半壊等)が今後変更される場合があります。
最新の状況は、各都道府県・消防庁の公表資料でご確認ください。
よくある質問<FAQ>
Q1. ハザードマップで危険地域に指定されていない土地なら、水害の心配はしなくても大丈夫ですか?
A. お気持ちはとてもよく分かりますが、今回の千葉県の豪雨のように、想定区域の外でも浸水被害が発生したケースが報告されています。
ハザードマップは大切な目安ですが、それだけで「絶対に安全」と判断するのは難しい場合があります。
土地の高低差や周辺の排水状況なども合わせて確認しながら、必要な備えを検討していくと安心につながると思います。
Q2. 室外機の設置位置を高くすると、費用や見た目に大きく影響しますか?
A. 設置位置や仕様によって多少の違いはありますが、間取りの検討段階からあわせて計画しておけば、大きな負担にならずに対応できることが多いです。
まずは、ご希望のプランの中でどの程度の対策が可能か、担当者と一緒に確認してみてください。
Q3. すでに気に入っている土地が、ハザードマップで色がついている場所でした。あきらめたほうがよいのでしょうか?
A. 色がついているからといって、必ずしもあきらめる必要はありません。
想定される浸水の深さや、土砂災害のリスクの有無など、リスクの中身によって取れる対策は変わってきます。
まずはその土地の条件を詳しく確認し、建物側でどこまで備えられるかを整理してみることをおすすめします。
Q4. 水害対策はすべての住宅で標準的に行うべきなのでしょうか?
A. 土地の条件やご予算によって、必要な対策の内容や優先度は変わってきます。
すべてを一度に行う必要はなく、リスクの大きい部分から段階的に検討していくという考え方でも大丈夫です。
ご家庭の状況に合わせて、無理のない範囲で計画していきましょう。
Q5. 万が一、浸水被害を受けてしまった場合、どのような対応が必要になりますか?
A. まずは無理をせず、安全を最優先に行動していただくことが大切です。
そのうえで、床下や構造材の乾燥・消毒、被害状況の写真記録など、今後の修理や各種支援の申請に備えた対応が必要になる場合があります。
個別の状況によって対応は異なりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
家咲の施工エリアについて
弊社では、山口市、防府市、宇部市、美祢市、萩市を中心に、家づくりのご相談を承っています。
事務所から車で1時間圏内のエリアを主な商圏としておりますが、詳しい対応可否については、お気軽にお問合せください。
ご相談・お問い合わせについて
今回の記事でお伝えしたように、ハザードマップの確認だけでなく、実際の土地でどのような備えができるのかを知っておくと、家づくりの安心材料が増えます。
「自分たちの検討している土地は大丈夫だろうか」と気になる方は、まずは家咲の個別相談や土地探し相談で、土地の状況を一緒に確認してみませんか。
まだ何も決まっていない段階からのご相談や、資料請求だけでも大丈夫です。
皆さまのペースに合わせて、丁寧にサポートさせていただきます。
